破産のことは知られたくない
体裁を気にせず再出発を
「破産するなんて世間の評判に響く」という話をよく耳にします。
かつて、破産手続きの多くは債権者から申し立てられていました。そのとき
の、債権者から「破産させるぞ」と脅しをかけられるイメージがあるのかもし
れません。
しかし、現在は多くの人が経済的に再出発をするために、自ら破産手続きを
選択する人が圧倒的であり、かつてとはまったく様相を異にしてきています。
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会社には知られない?
自己破産手続きを考えている人が一番気になる問題が「会社にバレるかな?」
という問題だそうです。
会社からも借金をしていれば、債権者として裁判所に届ける必要がありますから
会社にも知られてしまいます。ですが、会社から借金をしていないのであれば、
会社に知られる可能性は大きくありません。
ただ、注意しなければいけないのは、破産手続きのために裁判所に提出する書類
には、給与明細書、源泉徴収票、退職金計算書が含まれています。
給与明細、源泉徴収票を請求するのにためらう人はほとんどいませんが、退職金
計算書については請求しにくいという人が多いようです。
退職金計算書とは、会社が作成した「今、辞めたとしても○○円の退職金を支払う」
という証明書のことです。会社に退職金規定がなくとも、正社員で勤続期間が長い
場合には、退職金はありませんという会社作成の証明書を提出することになってい
ます。「退職金がないことを知っているのに、『退職金はないという証明をしてくださ
い』とはとても言い出せない」「辞める気持ちは一切ないのに『今、辞めた時点での
退職金はいくらあるでしょうか』なんて聞けない」
このような気持ちはよくわかります。
しかし、恥じらいの気持ちから退職金計算書の請求を思いとどまれば、破産申立も
思いとどまることになります。返済が滞った状況をそのままにしておけば、債権者は
会社に電話をかけてくることもありますし、給与差し押さえの手続きをとる可能性も
否定できません。そうなってしまっては、会社に迷惑をかけるどころか、会社にいづ
らくなってしまい、一層事態を深刻にさせるだけです。
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破産が会社に知られてもクビにはならない
もっとも、勤務先に知られたからといって、破産手続き開始決定を受けたことだけで
会社を解雇されることはありません。もし解雇されたなら、そのときは不当解雇であ
る可能性が高いといえます。
この点、平成16年に破産法が改正されるまでは、役所が発行する身分証明書に
「破産宣告の通知を受けている」と記載されていました(破産手続き開始決定を
受けてから免責が確定するまで)。
しかし、、平成17年に新破産法が施行された後は、裁判所は原則として本籍地に
破産手続き開始決定の通知をしていません。ただし、免責許可が得られなかった
場合には、破産手続きの開始が裁判所から本籍地の市区町村に通知されるよう、
運用上の変更がありました。
また、破産手続きに長期間かかると予想される場合には、通知するという裁判所も
あります。具体的には、換価手続きに時間を要する管財手続きに進むと、名前が
掲載されると考えるのが簡単な目安といっていいでしょう。
もっとも、職業のなかには、破産手続き開始決定を受け免責確定を受けるまでは、
欠格事由(登録ができない、登録が拒否されるなど)とされているものもありますか
ら、注意が必要です。
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家族に迷惑がかからない?
破産手続きを考えている人で「家族に知られたくない」という人もいるようです。
会社に破産のことを隠すように、家族にも隠しておきたいという気持ちはよくわ
かります。
もちろん、家族に伝えずに手続きをすることは可能です。
しかし、、同居している家族がいるなら、裁判所に生活状況を伝える必要があり
ます。まったく知らせないで手続きをすませることは難しいでしょう。
ですから開き直って、家族には積極的に事実を伝え、協力を得るようにしましょう。
「破産手続きは1回だけの特典」と考えるべきですから、二度と借金をしない生活
を送るためにも、家族に事実を知ってもらうことが大切といえます。
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家族に連帯保証人がいる場合は・・・
家族が借金の連帯保証人になっているなら、なおさらその家族には自己破産の
事実を伝えておくべきです。
債権者は、あななたに支払いを求められなくなれば、保証人に支払いを求めるこ
とになります。特に商工ローンは、あなたが支払い困難となった時期から速やか
に連帯保証人に対して支払いを求めることになります。
したがって、破産手続きに限らず、法的に借金問題を解決する際は、連帯保証人
になっている人に、事情を説明しておくべきでしょう。そうすれば、連帯保証人も
慌てずに対処することができます。
もちろん、連帯保証人に迷惑をかけるので破産はできないという考えは誤りです。
支払い困難になれば、破産手続きをするかしないかとは関係なく、債権者は連帯
保証人に請求を行います。
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免責は社会的に認められた制度
債務者は、免責という効果を得れば、もう一度経済的に再出発できます。
これは債務者にとって、うれしいことです。
とはいえ、「借りたお金は返さなければならない」「体裁が悪い」「戸籍に載る」
「永久に破産者になるのではないか」「親や兄弟(姉妹)、子供に迷惑がかか
るのではないか」「会社に知られてしまうのではないか」という懸念はいまだ
残ります。
しかし、心配することはありません。
確かに、借りたお金は返さなければならないということは、法律上も道徳上も
当然のことです。
しかし、返済することができない状態であるにもかかわらず、返済のために無理
をして体を壊したり、夜逃げをしたり、思いつめて自殺に至ることは、社会として
も喜ばしいことではありません。
国民一人ひとりの活動が国力を支える源なわけですから、その国民一人でも
自殺するということは、国家的損失でもあります。免責という制度が設けられてい
るのは、そういった理由があります。
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自殺するのは無意味
この点、警察庁がまとめている自殺者統計では、自殺者の総数の約3万人の
うち、経済、生活苦を動機とした自殺者は約8000人にのぼっています。平成
9年までの約20年間は、経済、生活苦による自殺者は1000~3000人で横
ばい状態でしたが、平成10年から倒産、失業による自殺が急増しています。
個人破産の申立も平成10年に前年比3万人増加し10万人の大台に乗りまし
た。交通事故による死者数が約7000人であることと比べると、いかに経済、
生活苦を原因とした自殺者数が多いかがわかります。
また近年は、借金トラブルのなかでも多重債務問題が深刻な社会問題として
受け止められるようになりました。
多重債務に陥っている者が200万人を超えているといわれるなか、相談窓口
にアクセスできている人が2割にすぎないと指摘されていることも、借金苦によ
る自殺者数の増加と無関係ではありません。
このような社会背景を鑑み、政府は平成19年4月に策定した多重債務問題
改善プログラムを開始しました。そこでも、多重債務者が気軽に相談できる
ように、市町村の相談体制を一層、充実すべきだとしています。
もしここまで読んでいる方で、自殺して解決しようと考えている方は、考え直し
てください。自殺は絶対いけません。破産手続き、そして免責という制度は、
きっとあなたの辛さを救ってくれます。
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破産手続きの申立件数の変遷
平成元年 9,433件 10年 105,468件
2年 11,480件 11年 123,915件
3年 23,491件 12年 139,590件
4年 43,394件 13年 160,741件
5年 43,816件 14年 214,996件
6年 40,613件 15年 242,849件
7年 43,649件 16年 211,860件
8年 56,802件 17年 184,923件
9年 71,683件 18年 166,339件
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