分配される資産・されない資産
破産手続き上では資産として扱われるもの
破産手続きを申し立てる人は、財産と呼ばれるものなど一切持っていないの
ではないかとも思えます。けれど実際は、一定の財産を有している人も多くい
ます。前項で述べた生命保険の保険料を支払っている人などはその典型です。
破産手続き上の資産といえるものがある場合は、破産管財人がその資産を
貨幣に換える手続きをとることになります。貨幣に換えられた資産は債権者へ
の配当予定額として破産財団に組み入れられます。
では、どういった財産が破産手続き上の資産とされるのでしょうか。誤解され
やすい例をご紹介します。
①保険解約返戻金
保険契約を結んでいる場合には、すぐに保険契約を解約した際に戻ってくる
お金(保険解約返戻金)が20万円以上の場合には資産とみなされます。
20万円未満であれば資産ではありませんが、複数の保険契約がある場合
の返戻金の合算が20万円以上であれば資産としてみなされます。
②退職金
現時点で退職した場合に支給されるはずの退職金で、その8分の1が20万
円以上ある場合には資産とみなされます。その金額も破産財団に組み入れ
られます。
一括で支払うことができない場合には、分割払いなどで支払う必要があります。
破産手続き開始決定後に退職した場合は、支払い額の4分の1が20万円を
超える場合に、4分の1相当額を破産財団に組み入れなければなりません。
③自動車
評価額が20万円以上の自動車を所有していれば資産とみなされます。普通
自動車で6年、軽自動車で4年以上前に新規登録されている場合には(購入
時期ではありません)、価値がないとされます。もっとも、高級車や外車の場合
には6年を経過しても20万円以上の価値を有する場合もあるので、念のため
買取り業者に査定してもらうことになります。
④不動産
不動産も資産としての価値をもっている可能性があります。
不動産会社に簡易査定(無料査定)してもらった結果で、資産とみなすかどうか
がわかれます。住宅ローン残高が不動産評価額よりも1.5倍以上ある場合には、
資産とみなされません。手続き上、資産として換価されませんが、裁判所にオー
バーローンの上申書を提出する必要があります。
逆にローン残高が不動産評価額の1.5倍に満たない場合は、資産としてみなさ
れます。その際は、破産管財人が抵当権者と交渉したうえで、不動産を第三者へ
売却します。その売却代金の3~5%程度が破産財団に組み入れられます。
⑤現金
破産法の改正によって自由財産拡張の裁判制度(破産法34条)が新しく規定さ
れ、99万円までの現金は自由財産として認められることができるようになりました。
自由財産とは、手続き開始時に破産者が所有している財産のうち、破産者が自由
に管理、処分できる財産を指します。破産手続き上、資産としてみなさない財産の
ことです。破産者といえども一切の財産を投げ出させては日々の生活をすることが
できません。破産開始決定後に支払われる給与はまさに自由財産として、日々の
生活費に充てることができます。
ただ、この制度はあくまでも裁判所の判断により認められる可能性があるというこ
とに注意しなければいけません。
自由財産として認められるかどうかは、破産者ごとの事情が考慮されることになり
ます。たとえば、認められる例としては、子供の入学金、学費のために貯めていた
現金などがあります。ギャンブルや浪費などにより破産申立に至った場合には、
自由財産が認められる可能性は極めて低いといえます。
⑥敷金返還請求権
敷金返還請求権は逆に、20万円を超えるものであっても、資産として扱われませ
ん。敷金返還請求権とは、居住用アパートを借りるに際して大家に支払った敷金を
返してもらう権利のことです。
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